カノコユリ

ユリ科ユリ属の多年草。四国・九州地方の山地に自生しています。

花が美しいので、昔から観賞用に栽培されています。名は花弁に鹿の子模様の斑点があることから。

主な開花期は7月中旬~8月中旬です。花びらが大きく上に反り返った10cmほどの花を下向きに咲かせます。花色は濃紅~ピンク、中には全く色の付かない白花もあります。シーボルトがオランダに持ち帰り、ヨーロッパのユリ栽培ブームの立役者になったユリです。

 

ところで、先日のバレエの発表会で皆で踊った「ジゼル」では、白いユリの花がシンボルとなっていて、作品の中でも効果的に使われています。

実は、発表会用に初めに用意されていたユリがカサブランカの造花で、それは違うでしょう・・・と言うことになったのです。カサブランカは日本に自生するヤマユリやササユリ、カノコユリを中心として改良されたオリエンタルハイブリッドと呼ばれる新しい系統の品種です。見かけもゴージャスで、清楚なジゼルのイメージとはちょっと違う。

では、ジゼルの時代にはどんなユリがあったのだろう、と調べてみました。

 

私たちが白いユリと聞いて思い出すのはたいていテッポウユリではないでしょうか。

しかし、テッポウユリは主にアジアに多く分布する系統。ヨーロッパに伝わったのは19世紀になってからのこと。ヨーロッパでは古くからマドンナ・リリーが広く親しまれてきたそうです。マドンナ・リリーはパレスチナ原産で、古くから栽培されており、中世までは文化や歴史面でヨーロッパを代表したユリです。草丈は80cmから1.5mで少し小さめのじょうご形をした白花を横向きに咲かせます。

ジゼルの白いユリは小さな花が清楚なマドンナ・リリーだと思われます。